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201394日 更新

草食動物のおなかの中を探検する

小林泰男(北海道大学・大学院農学研究院・家畜栄養学研究室)

オジロシカルーメン細菌由来プラスミド   研究の中心はヒツジ。機能性栄養素    和種馬の大腸は繊維消化システム

を使い遺伝子交換系を開発(9295)    生成の秘密にせまります(82〜)              の比較解析モデルです(97〜)

 


<どんな研究分野?>

動物が生きていくには外界からの栄養素の摂取、消化・吸収・体内代謝・排泄といったプロセスを円滑に進める必要があります。これらプロセスは、物質(酵素や体組織成分など)の生成、内・外分泌や神経系の活動などを含む、複雑かつ緻密な生体ネットワークによって制御されており、「栄養システム」という名称でよばれています。私たちの研究は、草食動物の栄養システム解明をめざしています。

    

地上最小の鹿・マメジカ                北海道和種馬の大腸にすむプロトゾア
(マレーシア農科大学)                 (細胞内に植物片をとりこんでいる)
 

システム全体をカバーするには広すぎる研究領域なので、おもに「消化管に棲息する共生微生物の機能・生態の不思議発見」をテーマにしています。なぜなら草食動物の草食たる理由が、これら共生微生物による植物繊維分解にあるからです。でもこれら微生物軍団の構成員(どんな能力のやつらが徒党を組んで難分解性繊維を消化しているのか)はよくわかっていません。その変動を予想もしくは制御できれば、もっと効率的な草の利用とか、低質な繊維(紙とかの木質)のエサ化への道が拓けると思われます。このようなゴールめざし、日夜の研究でえられた成果を国内・外に発信しています。一方、学生たちは研究活動を通じて見聞を広め、人間性を高めていくので、研究は教育そのものともいえます。

消化管微生物生態系は内なる小宇宙とも呼ばれており、濃厚で多様性に富む、とても魅力的な研究領域です。ふだんは酸素がほとんどない環境(お腹の中)で暮らしているので、培養も無酸素室でやらねばいけません。1つ1つはちっぽけな存在ですが、ひつじ1頭の胃の中で100兆個以上の細菌ががんばって仕事をし、ひつじにエネルギーやタンパク質の供給をしてくれています。1頭分の消化管細菌(1細胞1ミクロンとする)を一列に並べると地球を2周半するほどの量です。まさに草食動物は彼らのおかげで草だけで生きていけるんです。こんな彼らの本性を知りもっと個性を活かしてあげようと思います。いっしょにおなかの中の探検にでかけましょう!
    
あなたの興味にフィットするとおもったら、まずはkyas at anim.agr.hokudai.ac.jpまでメールして下さい(ご面倒ですがat@におきかえて下さい:スパムメール防止のため)。


<プロフィール>

1956年5月京都府綾部市生まれ

 

学歴・職歴
1975
年3月,京都府立綾部高校卒業
1975
年4月,北海道大学理類入学
1979
年3月,北海道大学農学部畜産学科卒業
1981
年3月,北海道大学大学院農学研究科博士前期課程修了
1982
年3月,北海道大学大学院農学研究科博士後期課程中退
1982
年4月,三重大学農学部助手
1988
年4月,三重大学生物資源学部助手
1991
年6月,農学博士(北海道大学)「イオノフォア抗生物質サリノマイシンの反すう家畜栄養への作用機序に関する研究」
1993
年4月,三重大学生物資源学部講師
1994
年7月,三重大学生物資源学部助教授
2000
年9月,北海道大学大学院農学研究科助教授

2004年4月,北海道大学大学院農学研究科教授、現在に至る                                                            

 

在外研究歴                                                                                  

19921-10月:カナダ農務省オタワ食糧・動物研究所(文部省在外研究員)                                        
1992
11-19931月:同上(客員研究員)
1996
6-9月:同上(客員研究員)                                                                    
1999
7-9月:カナダ農務省レスブリッジ研究所(客員研究員)  
   

 

賞罰

2005年3月,日本畜産学会賞(反芻家畜第一胃内微生物消化とその制御に関する研究)  

2011年3月,Animal Science Journal Excellent Paper Award (Validation and application of real-time PCR assays for representative rumen bacteria. Animal Science Journal, 78: 135-141. 2007)                                   


<さっぽろ赴任後のお仕事>
2000.9.1に札幌赴任してからの主な出版物です。05年に穴があいてしまったので頑張らねば・・・・。 色文字の論文はPubMedなどにリンクしてあり、クリックすると要約が読めます。
2012

 

2011
 
2010

 

2009

 

2008

 

2007

 

2006

 

2005

  • 小林泰男. 草食動物消化管の難培養性微生物を探る-始まった未知菌の分離と機能解析-. 化学と生物. 43:7-9.

 

2004

 

2003

 

2002

 

2001

 

2000

 


<テーマと仕事仲間>
  • キーワード:草食動物、消化管微生物、繊維消化、分子生態、分子育種、プレバイオティックス
  • 具体的な内容:草食動物(牛、羊、馬、鹿など)の栄養に多大なる貢献をしている消化管内共生微生物の機能・生態(おもに分子生物学・生化学的手法を駆使)を探る。実際には、

.繊維分解菌群の種構成やその変動の非培養解析(定量的PCRなど)を通した生態系制御法の模索

.遺伝子操作による繊維分解菌の機能開発

.プレバイオティックス(オリゴ糖や易分解性繊維)による胃腸内環境の制御 

.難培養性消化管細菌の生態解析と分離・培養化へのチャレンジ(はじまったばかりです)     などを手がけています。

消化管細菌が付着・増殖し植物片の消化が本格的にはじまります。とくにFibrobacter succinogenesは重要です。

ルーメン浸漬24h後の稲わら茎部内側にコロナイズしたFibrobacter様細菌    撮影:温井容子(H16年修了)

 

  • 共同研究機関 (は現在進行中のもの)

アメリカ・イリノイ大学畜産学部(Prof. Mackie/反芻動物ルーメン微生物の機能解析を通したルーメン発酵改善に関する研究/学振外国人招へい事業/2010

出光興産アグリバイオ事業部(新規抗菌性天然物質の評価/奨学寄附金/2006〜)

畜産草地研究所(永西、竹中博士/メタンの革新的削減をめざしたルーメン発酵制御物質の開発/科研費(基盤B/2008-2010

畜産草地研究所、山形大学、出光興産アグリバイオ事業部(永西、竹中、小酒井、長嶋、望月博士/畜産由来メタンガスの革新的削減をもたらす天然飼料添加物の開発/新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業/2008-2010

物産バイオテック(新規油脂系添加物の評価/奨学寄附金/2010〜)

明治飼糧(新規プロバイオティクスに関する研究/奨学寄附金/2009〜)

アクアクララプロダクト(植物抽出物を含有する機能水によるルーメン発酵制御/経産省・中小企業製品開発等支援補助金/2009

日本配合飼料(新規飼料添加物に関する研究/奨学寄附金/2007

日本ハム・ノーステック・中央畜産会(ミルクホエーの活用による薬剤低減養豚と安全な食肉生産システムの開発/ノーステック特別重点支援/20062009

畜産草地研究所、三重大学生物資源学部(竹中博士、松井助教授/消化管微生物制御を通した自給飼料利用性の改善/農水委託(エサプロジェクト)/20062009

畜産草地研究所、三重大学生物資源学部(竹中、三森、田島博士、松井助教授/草食動物消化管からの難培養性細菌の分離と機能性評価/科研費(基盤B/20052007

チェコ・動物生理遺伝学研究所(Dr.Fliegerova/ルーメン細菌Selenomonasの繊維付着/学振欧日共同研究派遣/2005

学内COEプロジェクト(食糧バイオマスの転換とその機能性・安全性の確保/先端的融合学問領域創成支援研究費/2004

ノーステック(各種豆外皮の有用菌増殖因子としての機能性評価/道内一次産品活用型バイオベンチャー育成支援調査研究費/2004

住友化学(メチオニンアナログ添加がルーメン発酵におよぼす影響/奨学寄附金/20042008

エコニクス/羅臼町(羅臼海洋深層水の畜産領域への応用/奨学寄附金/2004

共立製薬/PICバイオ(新規生菌剤の作用効果に関する研究/奨学寄附金/20042008

北海道立畜産試験場(大坂・谷川研究員/コーンサイレージの高度利用に関する研究/道重点研究費/20032005

塩水港精糖・テイクオー・JRA総研(藤田・萩原・朝井博士ら/ウマ大腸細菌叢への新規オリゴ糖の給与効果/奨学寄附金/2002

広島大学生物生産学部(谷口教授・小櫃助教授/ウマ栄養に関する研究/科研費(基盤B/20002002

イギリス・ロウエット研究所(Drs. Edwards and Wallace/病原ルーメン菌の新定量系の開発/BC・学振共同若手研究員派遣/2002

スロベニア・リュブリャナ大学(Prof. Marinsek-Logar/ルーメン細菌Butyrivibirioの遺伝子解析/学振欧日共同研究派遣/2002

チェコ・動物生理遺伝学研究所(Dr. Kopecny/ルーメン細菌Butyrivibirioの系統分類/学振欧日共同研究派遣/2000


<学生募集>
  • 生命の神秘に対する探求心(興味)、研究における忍耐と創意・工夫などを備えた学生諸君!歓迎します。
  • 最初はできなく当然です。動物個体レベルから微生物や遺伝子など細胞・分子レベルまで、広域にわたって取り扱い、勉強の仕方、研究背景などを教えます(先輩が)。2−3ヶ月ほどの見習いを経て、晴れて自分のテーマにとりくめるでしょう!

·         研究室のモットーは「よく学び、よく遊ぶ」です。これは教員が率先して実行しています。

 


<リンク>

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開設日:200274日 アクセスカウンター設置:20021224日  ClustrMaps設置:200711月  最終更新日:201394
制作者:小林泰男

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